高等ムーミンをめぐる冒険

趣味は生物学とクラリネットです。つぶやき:https://twitter.com/NobuKoba1988 ほどこし: https://www.amazon.jp/hz/wishlist/ls/RXOIKJBR8G4Q?ref_=wl_share

細菌が作り出す真核生物の交配を導く媚薬 〜その名はEroS〜

 ある種の生物は、他の生物を操作する事が知られる。カマキリに寄生するハリガネムシや、ゴキブリを操るエメラルドゴキブリバチなどは知っている人も多いだろう。カタツムリに寄生して鳥に食われるよう仕向ける奴も有名だ。これらはいわゆる寄生虫である。

 もっと単純な、共生細菌のような原核生物が生物界を超えて真核生物を操作する例も存在する。昆虫の性別を操作するボルバキアは進化学的にも細胞生物学的にも面白い。私の青春を彩った作品の一つである「ひぐらしのなく頃に」では、人間の精神状態を変容させ特定の行動を促す感染症が登場する(フィクションです)。

 今回紹介する論文は、今年9月にカリフォルニア大学のチームがCellに発表した「細菌が真核生物の交配を促す媚薬となるタンパク質を分泌する事」を発見したというものである。

 

  • V. fischeriS. rosetta交配を誘導することを発見

 筆者たちは襟鞭毛虫Salpingoeca rosettaと色々な細菌との相互作用を研究しているようだ。襟鞭毛虫は一つの鞭毛を持つ小さな生物で、群体性のものは多細胞動物の起源であるという説があり、後生動物に最も近いと言われる単細胞生物である。ゲノム解析の結果、細胞接着分子であるカドヘリン様の遺伝子がいくつか見つかっている事からも、多細胞化への流れを感じる。

 まず彼らはS. rosettaビブリオ属の細菌Vibrio fisheriを一緒に飼うと、S. rosettaが2~50細胞の群体を形成する事を発見した。S. rosettaが群体を作るという報告はなく、その生物学的意義は不明であったが、多くの生物で群体は交配と関係している。そこで、群体内のペアを仔細に観察した結果、細胞融合ならびに核融合を行っている事、さらに遺伝子型の異なる2系統のS. rosettaを用いた結果、実際に相同分裂組替が生じている=交配を行っている事がわかった。この現象はV. fischeriの培養上清のみによっても引き起こされる。すなわちV. fischeriは媚薬となる物質を分泌しているのである(図1)。

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  • 媚薬となる物質を単離し、EroS命名

 次に、媚薬効果の分子実態を明らかにするため、原因物質を探索した。V. fischeriの培養上清の媚薬活性は熱およびプロテアーゼに感受性であった事から、媚薬はタンパク質であると考えられた。彼らは上清から全てのタンパク質を単離し(すごい努力だ)、媚薬効果を検討するバイオアッセイを行ったところ、約90kDaのタンパク質が得られた。このたった一つのタンパク質のみでS. rosettaの交配を誘導するのに十分であった(図2)。こうして無事に媚薬の同定に成功した筆者らはこのタンパク質をEroS (extracellular regulator of sex) と名付けた。お前それエロス言いたいだけちゃうんかと。

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  • EroSの実態はコンドロイチンリアーゼである

 ではこのEroSは何をしているのか?EroSタンパク質の配列を解析した結果、グリコサミノグリカン(GAG)リアーゼドメインを有している事がわかった。GAGは真核生物の細胞外マトリックスであるムコ多糖であり、GAGリアーゼはこれを分解する。生化学的な解析により、EroSはGAGのうちコンドロイチンに対する分解活性を有する事がわかった。しかしながらコンドロイチンなどのGAG硫酸は真正後生動物の特徴であり、襟鞭毛虫に存在するという報告はない。

 この酵素活性は媚薬としての機能に必要なのか?アミノ酸を置換しリアーゼ活性を失わせたEroSでは媚薬の効果は得られなかった。さらに、他の細菌が作るメジャーなコンドロイチンリアーゼを用いてもEroSと同様の効果が得られた。すなわち、コンドロイチンを分解する事がS. rosettaに対する媚薬としての機能に必要である事がわかった。

 S. rosettaは基質となるコンドロイチンを作れるのか?ゲノム配列の解析結果から、コンドロイチンの生合成に必要な酵素のホモログをコードしている事、実際にこれまで動物にしか存在しないとされていたコンドロイチンを産生している事がわかった。この事から、襟鞭毛虫が動物に近縁な種である事の証左が更に増えたと言える。

 一方、コンドロイチンの分解産物は群体形成を誘導しなかった。筆者らはEroSによって生じるコンドロイチンの分解産物ではなく、分解により細胞外マトリックスにおけるプロテオグリカンの構造が変化する事が群体形成と交配の誘導に重要であると推測している。

  • 考察

 この論文で筆者らは

  1. ビブリオ属細菌 V. fischeriは襟鞭毛虫S. rosettaの交配を促す媚薬を分泌する
  2. 媚薬の正体はコンドロイチンリアーゼでありEroSと命名
  3. S. rosettaはこれまで動物にしか存在しないとされていたコンドロイチンを合成しており、EroSによって分解される事で交配が誘導される

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と、現象の発見から原因物質の特定、メカニズムの一端までを明らかにするとても綺麗な仕事をされている(図3)。コンドロイチンを分解したからどうなんだって話になるが、プロテオグリカンの構造が変わると互いにくっつき易くなって交配が起こるのだろうか?最大の疑問は媚薬効果の生物学的重要性、すなわち交配を促してV. fischeriに何か良い事があるのか、という事だ。一応最後に、より自然なコンディションでもこの現象は起こる事を示しており、実際に野生状態でも起こりうるという事に特に疑いを持つわけでないが、利益がなければわざわざこんな事はしないと思うので何かあるのだろう。

 今回は細菌が単細胞真核生物の交配を促すという話であったが、筆者らが文中で何度もS. rosettaのことを「後生動物に最も近い生物」と強調しているように、動物の交配を誘導できる微生物がいるのではないか?というテーマを提示している。

 我々は一つの個体として生存しているように見えるが、実際には少し異なる。動物は皮膚や消化管や生殖器、植物は根圏などで大量の微生物と共生しており、互いに相互作用し合って恒常性を維持し、あるいはその破綻が疾患を導く。私の分野で言えば、腸内細菌が食物繊維を代謝して作る短鎖脂肪酸が宿主の免疫細胞の分化に重要な役割を果たす事がわかっている。これらは共進化の賜物であり、我々は共生微生物も含めた一個の生命体であると言えるだろう。そのような観点からすると、例えばある種の腸内細菌が産生する物質が宿主であるヒトの生殖行動を促すような事があっても、そう突飛な話ではないと思われる。万物の霊長と言われる我々人間が自由意志で行っていると思っていた行動が、実はちっぽけな微生物に支配されていたとしたら、とても愉快だとは思いませんか?

Woznica, A., Gerdt, J., Hulett, R., Clardy, J. & King, N. Mating in the Closest Living Relatives of Animals Is Induced by a Bacterial Chondroitinase. Cell 170, 1175–1183.e11 (2017).

 

この記事は今年読んだ一番好きな論文2017にエントリーして書きました。面白い企画ですよね、ありがとうございます。

クラリネット再メッキオーバーホール〜魅惑のピンクゴールド〜

 近ごろは主にB♭クラはクランポンのfestivalを使っているので、昔から持ってるCSVは売り飛ばそうと思った事もあったが、まぁ高校の頃にお年玉貯金をはたいて中古で購入し、その後は幾多のコンクールを共にした思い出の楽器でもあるのでまだ使ってやろうと思った。二本あると修理の時とか結構便利であるし、今いる団体は外で吹くことも多いので高校の頃に散々外で練習して割れ耐性が付いたと思われるこの楽器が活躍する機会もあるだろう。
 しかしながら、リングキーの内側が腐食していたりキーポストのメッキがボロくなっていたり、少々くたびれてきた感じは否めない。そこで、いつかやろうと目論んでいたピンクゴールドへの再メッキを実行した。

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 修理は町田にある木管楽器工房Anchesにお願いした。パイパーズ(管楽器の雑誌)で連載を持ってた技術者さんで、相場よりかなり安く(10万円ポッキリ)できた。当初はオールピンクゴールドにしようと思っていたが、せっかくだから記念モデルとかにもないカラーリングにしようと思い、キーポストは24金でお願いした。クラリネットは黒い木なので全部金メッキだと仏壇チックになってしまうが、これだとそう厳かな感じはない。タンポはホワイトレザーにしてもらった。

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 もともとのメッキの状態が悪い部分は再メッキ後もやや荒い感じの表面になってしまうが、値段が安いので費用対効果としては良い気がした。もっとお金を積めばボロボロのキーもかなりツルピカな感じでメッキしてくれるお店もあるようだが、こちらは金持ちになったらまた改造する際に利用したい。

 気になる音色の変化だが、正直よくわからない(!?)。というか最近フェスティバルばかり吹いていたのでゴールドメッキで重くなるかと思っていた吹奏感が軽く感じる。ただ、どちらにせよ全分解オーバーホールを施した訳で、キータッチや音程は良くなったと思う。まあ所詮はアマチュアなので、自分の好きなように楽器を弄って満足していれば良いのだと思う。次はシャンパンゴールドにしたい。あとローズウッドの楽器(パトリコラ)も欲しい。

 

 

(追記) 

メッキ料金は2018年から値上げされたようです。時代の流れですね。

Woodstone KODAMAII リガチャー

 リガチャーはずっと仙台のモリタ管楽器がクランポン純正を改造したセカンドインパクトという奴を使っていて、古くなってきたので買い換えようとも思っていたのだがもっといい奴は見つからなかった。

 

 今回ちょっと安くなっていてオサレな色をしていたのでWoodstoneのKODAMAIIというやつを買ってみた。

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 革製リガチャーは音が吸収されるような気がしてあまり好きじゃなかったのだが、こいつは素直に音が出て吹きやすい。リードとの接地面が木(グレナディラ)で出来ているのでKODAMAというらしい。果たしてその効果によるものかは不明である。セカンドインパクトに比べて若干響は落ちる気がするが、オサレポイントが高いので普段使ってみてもいい気がした。

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 想定外だったのは、結構ゴツいというか形は綺麗なのだがサイズがかなりデカい(木製プレートを取り付けるネジがリード側にはみ出している)ため、マウスピースに装着した状態で楽器ケースに入れておくことができない。今のところ元の箱に入れて持ち歩いているが、バンドレンのマウスピースの箱よりもでかくて邪魔である。ちょっと日常的に使うのには抵抗を感じてしまう。何かこれに合うフィルムケース的なサムシングが見つかればいいのだが。

 

 

論文紹介:Twitter as a means to study temporal behaviour

先日ラボの後輩くんが紹介していた論文。

今年ノーベル賞をとった時計遺伝子が記憶に新しいが、生命体の活動には周期性があり、医学生物学の世界では概日周期(代謝の変動など)に関する研究が盛んに行われている。

Current Biologyに掲載されたこの論文では、ヒトの睡眠などの時間的挙動の情報ソースとしてソーシャルメディア、例としてツイッターが利用できると提唱している。

http://www.cell.com/current-biology/abstract/S0960-9822(17)31014-X

とうことで筆者らはトランプ大統領ツイッターアカウントが投稿した12,000 tweets について統計学的な解析を行った。
その結果、投稿元のデバイスにより明らかに投稿者が異なることが分かった。
Androidからの投稿には投稿に早朝と深夜の2回にピークがくる周期性が見られ、特定の個人によるものと推測される。
一方iPhoneなど他の複数のデバイスには周期性が見られない。
Androidからの投稿は過激な内容が多く、他のデバイスは事務的なものが多かった。
以上のことから、Androidからの投稿がトランプ本人であると考えられ、他のデバイスによるものはスタッフの投稿であると推測された。
これは先行研究の結果とも一致する(先行研究???)。

声優のSNSなどを統計分析している気持ち悪い同人誌があるらしいが、それに近いものがありますね。

ラボ飯〜二郎三田本店編〜

 月曜午前中のMTGを終えた我々は、無事に進捗報告を成し遂げた同期ちゃんを労うためにラーメン二郎三田本店に向かった。

 彼女はかつて二郎新橋店に初めて行った際には完全にグロッキーだったのだが、こないだ後輩たちと一緒に三田の本店に行ってからというもの「新橋と全然違って美味しい」「老舗感がある」「店主が素敵、店員が優しい」「フォトジェニックだった」などと完全にジロリアンに洗脳されていたのだ。
 一部の男性に脂ぎった高カロリーな食事を食べて回ることに情熱を燃やす暑苦しい連中が居るが、私が二郎本店に向かったのは純粋な興味であり、そのような者たちとは一線を画して居る事を強調しておきたい。Wikipediaによればかつて慶應の学生が尽力したことにより現在の店舗が存在するという。まがいなりにも慶應に籍を置くものとして一度見るべきであると思ったのである。

 慶應義塾大学三田キャンパスのすぐ近くにある多くの男たちを熱狂させてやまないその店は、まるで豚小屋のような佇まいであった。午後も一時を回っていたため、少し並んだらすぐに入ることができた。横に細長い店内は左右の扉が解放されて居ることにより空気が循環しており、蒸し風呂のような惨状であった新橋店と比較し、極めて涼しいと言える。
 統合失調症気味の社訓が書かれた券売機で「ラーメン」の食券(600円)を買うと、脂ぎった青いプレートが出てきた。色で判別して居るらしい。若い店員は連れが隣り合うように気を使ってくれたり、たしかに排他的な雰囲気に反して非常に愛想がよい。
 そして店主の姿を見ると、なぜか常に薄汚れた包帯を巻いているというその両手の指であらゆる食材を扱い、なるほど「三田店のスープには店主の指のダシが出ている」という後輩からの前情報にも頷ける。
 最初野菜でも増した方がいいかと思っていたが、雰囲気に飲まれて居るうちに何もナシで出てきてしまった。同期ちゃんは少なめに注文しようとしてやはり失敗してしまったが、後から来た客を観察すると店員に注文を聞かれた瞬間に言うべきらしい。てっきり麺を減らすなんて罪深い行為は許されないかと思っていたが全然オーケーなようだ。
 周囲を観察していると、全部マシというのにすると予め器に分配してあるスープが増量に伴い溢れるのを防ぐためか、床にビシャッとスープを少し捨ててから客に提供している。また、痩せて草臥れた雰囲気の会社員風の初老の男性が二杯も頼んでて恐ろしかった。

 二郎用語で「小」と呼ばれるラーメンは、やはり世間一般におけるそれの2倍程度の量があった。
 味は確かにうまい。新橋に比較して麺がモチモチしている。スープも店主のダシのおかげか美味しい気がする。チャーシューというか肉塊は硬いところと柔らかい部分があってなんだかよく分からん。
 同期ちゃんは一口食べると「うめぇ…」と呟いており、ダイエットをライフワークとして居る彼女の体重の変遷を考えると涙がちょちょ切れんばかりであった。
 一方、二郎本店に異様な忌避感を呈していたのを半ば無理やり連れてきた同期くんは引きつった顔をしていた。
 私は半分程度までは幸福に食事をする事が出来たが、ある時ふと麺がちっとも減らない事、そしてもう満腹である事に気づくと大変だった。結局、何か幸せだった事を思い出して気を紛らわせて忘我のうちに食べきる事に成功した。何か具材をマシていたら死んでいたかも知れない。
 同期ちゃんも麺を減らすのに失敗したにも関わらず完食していた。同期くんは少し残し、半日かけてデータをまとめたエクセルファイルが消失した時みたいな顔をしていた。
 店には引っ切り無しに客が入り、店主が巨大な換気扇を回すと豚小屋のような店舗に涼風が吹き抜けるのだった。

 地獄のような暑さだった新橋店で二度と行くかと思った時に比べると比較的元気であり、また来てもいいかなと思わせる何かが三田本店にはあった。そんな事を話しながら私と同期ちゃんは意気揚々と研究室に帰った。同期くんは無言でその日ずっと死んだ魚のような目をしていた。

Esクラ・オーバーホール

 毎年大学のOBバンドでコンクールに出ているのだが、近年は海外に行ってしまった先輩のエスクラを吹かせてもらっている。セルマーの古い楽器で、昔は学校所有のアホみたいなエスクラしか吹いてなかった私としては中々良い楽器に思える。しかしいかんせん古くて結構キーがダメージを受けているし、調整も怪しい。

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 いつもは別の人が保管してるのだけれど、今年はずっと預かって吹いていていい事になった。そこで、世話になったお礼までにオーバーホールに出すことにした。

 キーを全分解して点検し、よく磨いてもらった。ボアオイルを塗布したので木部も綺麗になったような気がする。タンポ交換は不要との事だったのでそのまま。自分の腕を棚に上げて音程調整を厳しめにお願いした。写真だとあまりビフォーアフターが分からないが、見た目は綺麗だし吹いてみると音程がだいぶ合わせやすい。

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 そういえば型番が分からないので楽団にいる某N貿易のお爺様に尋ねてみたところ、結局モデルは不明だが「そのケースはワシが作った(デザインした)」と仰っていた。日本製だったんですね、すげぇ。

 

 普通B♭管やE♭管のオーバーホールというと消耗品交換がなくても4万くらいは覚悟するものだと思う。今回修理に出した神奈川のNFC管楽器修理所という所では驚異的な価格で全タンポ交換・全分解オーバーホールをしてくれた。

 以前B♭管をオーバーホールしようと思って安いところを探したところ、ヤフオクに出品しているのを発見した。基本的には楽器を送付してやり取りする(実店舗に持ち込みも可能らしいが、同じ神奈川県内とはいえ遠かった)。細かな点をいろいろ確認してくれ、タンポ交換も不要だったため費用は一万円以下に収まってしまった。その時はヤフオクでの取引が面倒だったので、今回は直接メールでお願いした。こっちの要望はよく聞いてくれるし、相変わらず値段がべらぼうに安い。

 もちろん近所に信頼の置ける楽器屋を見つけてそこに預けるのが一番なのだが(お布施的な意味でそういう店でリードも買うのがベストではある…)、近くに楽器店が無い人や貧乏学生で、運送屋に楽器を任せるのに抵抗のない人にはお勧めである。ゆうパックが良いらしい。

クラリネットのマウスピース

 僕は高校の吹奏楽部でクラリネットを始めたが、最初に手に入れたまともなマウスピースは御多分に洩れず5RVだった。それに青箱3グラコン3半と合わせていき、なんか大学に入ってから様々なリードに手を出し始め、硬めのリードを好むようになった。ゴンザレスとかね。

 そのうちなんかバンドレンM15を買って青箱4番以上の硬いリードで野太い音を出すようになった。たぶん楽器歴が長くなるにつれ、息の量が増えて行ったのだろう。

 けれども学部生の頃、仙台フィルの方に何回かレッスンを受けたところ、もっと息が吹き込めるマウスピースにしなさいという事でB40で青箱3番を合わせる事を勧められ、それ以来ずっとB40 LYREを使用している。エスクラも同じ。その人の門下はだいたいB40を使用しているので、うまく乗せられている気がしなくもない。途中ヴィルシャーのNo5を手に入れた事もあったが、B40しか吹けない身体になっていたのですぐに売ってしまった。

 ところが、就職して3年ほど日常的に楽器を吹くことをしない暮らしをした結果、B40では息が辛くなってしまった。今は楽団に入って土曜日だけ合奏しているが、週一の練習では当時の体力に戻すのはなかなかしんどい。青箱3はだいたい重くてつらいし2半はペーペーするし何がいいのかわからなくなってきた。

 そこでもう少しフェイシングの狭いマウスピースを買おうと思い、バンドレンのブラックダイヤモンドBD5というやつを買ってみた。手持ちのリードだと、銀箱の31/2が合うようであった。開きのわりには抵抗が強く感じる。合うリードだと、まとまった感じの音で、高音域も綺麗に出るような気がした。ただやはりB40に比べると音がコンパクトな気がする。今いる楽団は野外演奏も多いので、メインで使うかはわからない。しかしいかんせん個人練の機会も少なくセッティングが合ってるのかよく分からず、もう少し合うリードなどを模索したい。