高等ムーミンをめぐる冒険

趣味は生物学とクラリネットです。つぶやき:https://twitter.com/NobuKoba1988 ほどこし: https://www.amazon.jp/hz/wishlist/ls/RXOIKJBR8G4Q?ref_=wl_share

2020-01-01から1年間の記事一覧

アクネ菌は実はいいやつ

アクネ菌(Cutibacterium acnes)というとニキビに悪そうなイメージであるが、誰にでも存在する皮膚常在菌であり、プロピオン酸や脂肪酸を産生して皮膚を弱酸性に保ったり、病原体に対するcolonization resistanceに寄与するという。今回は抗生物質を作って…

おめぇ、……実験、論文、…そしてプレゼン、…全て三拍子揃ってるぜ

「おめぇ、……実験、論文、…そしてプレゼン、…全て三拍子揃ってるぜ。 ……お前みたいなヤツが俺の役をやるべきなんだよ…。アカデミアみてぇなクソ業界の教員をな…!」 「ははん。ごめんだね、あんたらみたいな根暗そうな地方国立大学の教員なんて!」 魅音が笑…

SARS-CoV-2は胚中心反応を回避する?

8/19でCellのオンライン版にpre-proofで出ていた論文によると、原理はよく分からないが、SARS-CoV-2に感染しても濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)の分化が起きず、胚中心が形成されないらしい。 これにより記憶B細胞と高親和性抗体が生じにくい。 一方でTh1は増加し…

葉っぱの細菌叢と炎症性腸疾患

植物だと根っこで微生物と共生しているイメージですが、葉も主要な部位らしく、dysbiosisを起こすような変異体(自然免疫や小胞輸送の多重欠損)を作ると葉っぱで損傷が起きるそうです。 興味深いのはFirmicutesの減少とProteobacteriaの増加といったヒト炎…

カメの温度依存的性決定(続報)

Trachemys scripta elegans (ミシシッピアカミミガメ。線虫ではない)は温度によって性決定する(26℃で雄、31℃で雌)ことが知られており、筆者たちは以前histone demethylase KDM6Bが温度依存的(26℃)に性線に発現して雄性決定遺伝子Dmrt1のクロマチンリモデ…

粘膜イムノグロブリンはいかにして進化したか?

粘膜面の分泌型immunoglobulinというのは病原体の排除のために進化したのか?それとも共生細菌の恒常性維持のために進化したのか?という疑問を探るべく、筆者たちはアマゾンの奥地…ではなくニジマスを探索。お魚はIgTというクラスを粘膜面で分泌するらしい…

ヘビでオルガノイド!?

ヘビの毒腺からオルガノイドを作ることに成功したという論文。毒腺オルガノイドは多様な毒素産生細胞を含み、機能的な毒素が産生されるらしいhttps://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(19)31323-6

腸管オルガノイド単層培養

Stappenbeckらのcolon organoidをmonolayerにして色々している論文。やはりNIH3T3を下地にしてALI cultureするのが流行のようです。 organoidをmonolayerにすると細胞が密集した島みたいなのが沢山できて「均一にならなくて気持ち悪いな。。。」と思っていた…

助教というお仕事

なんだかんだで博士号を取り(学位審査の2週間前にacceptされて死ぬ寸前だった)、半年ほどポスドクを経て2019年の10月から北陸地方にある某大学医学部の助教として勤務している。今のご時世、学位をとってすぐにポストにつけたのは行幸である。 分野的には…