Trachemys scripta elegans (ミシシッピアカミミガメ。線虫ではない)は温度によって性決定する(26℃で雄、31℃で雌)ことが知られており、筆者たちは以前histone demethylase KDM6Bが温度依存的(26℃)に性線に発現して雄性決定遺伝子Dmrt1のクロマチンリモデリングによって性別を雄に決定することをScienceに報告していました。今回彼らはこの研究をさらに発展させ、31℃ではCa2+濃度依存的にSTAT3がリン酸化し、pSTAT3がKDM6Bの発現を抑制することで雌に性決定することを見出しました。おそらく温度感受性チャネルか何かが重要だと考えられますが、そこまでは同定してません。また、STAT3はCold-inducible RNA-binding protein (CIRBP) によって活性化することが報告されており、CIRBPの関与も推察されます。いずれにせよ、温度による性決定にSTAT3が重要な役割を果たすことを示しています。
相変わらずカメでChIPしたりレンチウイルスを導入したり、非モデル生物の分子生物学的アプローチに夢を感じました。
https://science.sciencemag.org/content/368/6488/303