高等ムーミンをめぐる冒険

趣味は生物学とクラリネットです。つぶやき:https://twitter.com/NobuKoba1988 ほどこし: https://www.amazon.jp/hz/wishlist/ls/RXOIKJBR8G4Q?ref_=wl_share

学振DC1の面接

 世の中には面接なしで学振に通る人もいるが、私の場合はそうはいかなかった。面接となると何が困るかというと、結果が分かるのが更に数ヶ月先になるので辞職を切り出すタイミングが遅くなってしまう事だった。まぁ仕事を辞める事についてはこの項では割愛する。

 とにかく通知によると、私は面接候補であった。この時、総合評点Tスコアって奴が出て私は3.325だった。
 項目ごとの数値は落ちた人しか分からないらしいが、これでだいたい自分の順位が分かるらしい(求め方は別のサイトをググってください)。その時の採用不採用の内訳は、

領域内申請者数:366人
うち一時採用予定者:57人 (上位15.6%)
うち面接候補者:28人 (上位23.2%)
うち不採用者:251人

 まあこの年の医歯薬領域では上位23%くらいに潜り込めれば面接には引っかかるということだった。ちなみによく学振スレでは業績がどのくらいか?という話題が出るので書くと、

国際誌筆頭 1
国際誌共著 1
国内口頭発表(英語) 1
国内ポスター発表(予定)1
受賞 1(上記口頭発表で優秀賞)

 筆頭論文は査読が早いので有名な某速報誌なのでIFは大したものではない。口頭発表も、学内のシンポジウムなので微妙な気がしたが、無いよりマシだっただろう。一本も論文がなくても面接なしで受かった人も知っているので、DCは業績を重視しないというのは本当かもしれない。ちなみに国内発表の(予定)というのはボスがまだ間に合うから景気付けに細胞生物学会で発表してこいというので修士の仕事で申し込んだ奴だ。一応、受理されてれば発表予定も業績欄に書くことが出来る。

 面接となったらしょうがないのでスライドを作らねばならない。プレゼン時間は恐ろしい事に4分しかなく、基本通りに1枚1分にしてしまうと4枚しか作れない。私は修士と博士で(ついでに言えば学部も)研究内容が全く異なるので、これまでの研究から今後の計画への流れも面倒だった。最終的には、タイトルも含めて9枚のスライドになった。業績3枚→テーマを変える動機1枚→研究計画4枚という流れだ。

 スライドに関しては申請書と同様受入先のボスや前ラボの師匠や先輩に送りつけて意見をもらった。質問も考えてもらって、予想質問集を作成した。直前に受入ラボで発表練習をしたが、人前で練習したのはそれだけだった。

 

 そんなこんなで12月の頭、麹町にある学術振興会の建物で面接は行われた。当時のメモによると、
・事前に控室で本番と同型のプロジェクターを用いて接続チェックできる
・PCは貸出PC(Win)を利用
ポインターも貸出
・16:20予定だったが、16:00前に呼び出しがあった
・荷物は持って移動、入り口の前においておく。
・前の人が終わるまでしばし待機
・名前と研究課題を述べてタイマースタート
・質疑応答は最初に申請書を良く読んでいると思しき質問者が複数質問
・その後あまり読んでなさげな人たちがパラパラ質問
・最後に大御所感のあるお爺ちゃんが根本的な質問を複数
・ボスに免疫学者は魑魅魍魎ばかりとかなり脅されていたが、雰囲気は終始和やかであった。係の人も皆親切。

 面接ごとに審査員が入れ替わっている様子はないので、申請時の細目によって審査員のバックグラウンドを合わせることが重要かもしれない。ただ、私が受けた際の審査員が免疫学者だったかどうかはわからない。正直言って面接というのは受かったのか受かってないのか手応えで判断できた試しがない。今回もなんだかよく分からなかった。

 

 面接の結果が出た時は喜びというより生きる糧ができたという安堵感しかなかった。その時の選考状況は

領域内申請者数:366人 (取下げ含む)
うち採用内定者:76人 (上位20.8%)
うち補欠者:9人
うち不採用者:251人

 採用内定で一時採用の時より増えているが19人なので、ほぼ面接候補者28人の過半数は合格したことになる。実際にはこの時点で採用辞退している人も少しはいるだろうから、面接に呼ばれればかなりの確率で合格できたと言えよう。明らかにアホで自分の頭で申請書を書いていないタイプの人間をあぶり出す為のものなのかもしれない。
 なお、この年の最終的な採用者は領域内で73人(採用率19.9%)であるようだ。採用内定者よりも減っている。もし76人まで枠があるとすると、内定者がかなり辞退し、補欠者を全部入れても足りなかったことになる。実際どのように採用者が決まったのかは知らないが、学振のサイトに出ている最終的な採用率よりも、内定する確率は高いと考えて良いかもしれない。

 

 いずれにせよ、(この年の私の領域では)同年代の上位20%くらいに入り込めればDC1に採用されるわけだから、企業の研究職なんかよりよほど確率は高いと言える。DC1というのは給付型の奨学金の中でも最も難易度が低い部類に入ると思う。受けるのはタダなんだしみんなも応募してみよう。