高等ムーミンをめぐる冒険

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仕事を辞めて学振DC1をとる

 私は公務員を退職して博士課程に入ると同時に学振のDC1に採用された。すなわち、仕事をしながら学振特別研究員の申請を行い内定を貰ったという訳だ。おかげで年収はだいぶ少なくなったが、なんとか自力で生活費や学費を捻出できている。

 そもそも修士じゃなくてもDC1に応募できるということを知らない人も多いかもしれない。私も当初は進学して最初の年は貯金で乗り切り、DC2に応募しようと考えていた。今のラボに見学に行ってボスに言われて初めてそれを知ったので、その点でもボスには感謝している。想定外だったのは、研究職に就いている人は所属のリーダー的な人に評価書を書いてもらわなければならない事だ。つまり辞める前提で職場に借りを作らなければならず、結構無茶なんじゃないかと思う(なお研究職じゃなければ修士の指導教官でよい)。

 DC1の申請は修士における所属機関で行うことになっている。もちろん私もボスもそんな事知らなかったため、間違えて進学先の事務に提出してしまい、リジェクトを食らった。その時点で既に母校における締切をぶっちぎってしまい、あの時は私の人生の中でも最も世界の終わりに近づいた出来事の一つだった。母校の事務と交渉してなんとか提出できたが、当時福島県に住んでいて、出身大学は仙台で受け入れ先は東京なので教授や事務とメールや電話や郵送でやり取りしなければならず、かなり大変だった。 

 学振の申請書については検索すれば色々出てくるので内容について細かいことは述べない。1番良いのは実際に受かった人の書類を読ませてもらう事だと思う。私の場合は受入先や出身ラボの先輩、大学の部活の先輩などからかき集め、4つほどDC1経験者の申請書類を読んで研究した。また、できれば落ちた人の書類も読ませて貰うと良い。その違いを考えると書き方が見えてくる気がする

 個人的には具体的な研究計画や業績と同じかそれ以上に書類の見せ方が重要だと思う。業績に関しては筆頭論文が何報もある人がいる一方で、一本も論文がなくても受かっている人もいた。それよりも共通していたのは、パッと見たときの読みやすさだ。実は下線や太字はもちろん、フォントを変えたり網掛けしたりするのもOKなので、各自で工夫すると良い。どんなに素晴らしい研究内容でも、膨大な量の申請書を処理するであろう審査員に伝わらなければ意味がない。

 なおボスは博士やポスドクで研究分野を変えたり、志望動機のパッションが大事だと言っていた。私に関して言えば確かに学部も修士も就職先も博士も分野が違うし、動機に関してはかなりドラマチックな理由を込めたのだけど、その効果は定かではない。

 絶対にやった方がいいのは、書いた書類を複数の人に見てもらう事。私は受入先のボスはもちろん、修士時代の教官2名、学部時代の先輩数名に見てもらった。恥とかどうでもいいので、なるべく多くの人に意見をもらった方がいい。

 

 そんなこんなで10月の半ばごろに結果が出た訳だが、そうすんなりとはいかず、面接を受ける事になった。面接についてはまた後述する。