高等ムーミンをめぐる冒険

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再生時の幹細胞

腸管上皮幹細胞であるcrypt base columnar cell (CBC,いわゆるLgr5+幹細胞)を障害で喪失しても上皮が再生する事から、クリプト底部から+4の細胞(reserve stem cell: RSC)がCBCにリプログラミングされると言われていましたが、その後の研究でRSCは損傷修復に必須ではないことが分かりました。また、損傷時の再生は転写共役因子YAP(ストレスに応答する)依存的であり、もともとCBCの予備がいるのか、誘導されて出てくるのか不明でした。

今回筆者らは障害時の腸管上皮をscRNAsecにより解析し、clustarinなどの損傷応答遺伝子を強発現する細胞がYAP1依存的に一過性に増殖し、CBCを含む全ての腸管上皮細胞に分化することを見出し、revival stem cell (revSC)と名付けました。おそらくrevSCがRSCとされていたものであり、普段は休眠的だが損傷依存的にCBCの娘細胞から脱分化して多能性を獲得すると考えられます。

https://www.nature.com/articles/s41586-019-1154-y

Ayyaz, A. et al. Single-cell transcriptomes of the regenerating intestine reveal a revival stem cell. Nature 569, 121–125 (2019).