高等ムーミンをめぐる冒険

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ゲイ遺伝子はない

Scienceに載っていた50万人くらいのゲノム(英国白人中心)を大規模に調べた論文によると、同性愛行動に相関する5つの遺伝子多型が同定された。
そのうちあるSNPは嗅覚遺伝子の近傍にあり、別のSNPは男性型脱毛に関係することから、フェロモンとかホルモンが同性愛に関係するのかもしれない。
しかしながら、相関が見られると言ってもこれらの変異で説明できるものは全体の1%に満たない。
すなわち性的嗜好を決定する“ゲイ遺伝子“のようなものがあるわけではない。
ハエでは単一の遺伝子変異(satoriという)でオスが同性愛になるので、ヒトの行動というのはやはり複雑である。
今回の調査では男性で4.1%、女性で2.8%が同性との性行為を経験しているという。
同性愛も遺伝の影響を受けるのは間違いないが、それは遺伝病のようなものとは異なる。
我々の姿かたちが複雑な遺伝的背景のもとに決定されるのと同様に、同性愛も生来的なものであり、社会に矯正されるようなものではない。

Ganna, A. et al. Large-scale GWAS reveals insights into the genetic architecture of same-sex sexual behavior. Science 365, eaat7693 (2019).
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02585-6?fbclid=IwAR1KrsvX0eDVK9gtQRmeDf_DSUXlP093HUBJV_aKdFgAMIfdtdeoDcA_D24
https://science.sciencemag.org/content/365/6456/eaat7693

 

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